神道の知識

家庭のおまつり

御家庭でのお祭りは、家族1人1人の幸せはもとより御家庭の安泰のために不可欠なものです。

神棚は、私たち祖先の神様を奉る美風として日本民族古来の伝統であり、家庭生活における最も大切な要素であります。居間など、家の清浄で高い処に、南か東向きの方位に設けます。御家庭を守護して下さる、神宮大麻神札・浅間神社神札・竈三柱神札(火防の神様)の御札を神社から受け、お奉りしましょう。

お正月は新たな気持ちで

年の暮れになると、どの家庭でも大掃除をして新しい年を迎える準備をします。その際には、神棚も祖霊舎も同様にきれいにし、神棚(宮形)にお納めする御神札も新しくします。

これまでおまつりしてきた御神札は、お守りなどと一緒にまとめて、神社に設けられている古神札納所にお納めするか、神職さんに直接お渡しして、お焚き上げをお願いします。

1年もたちますと、旅行の際に各地の神社をお参りするなどして、その年におまつりしてきた御神札が随分と多くなることもありますが、遠方の神社の御神札を近くの神社にお納めしても差し支えありません。大切なことは、家族が清々しい気分で新年を迎えようとするときには、神棚も祖霊舎もきれいに御神札も新しくして、新たな気持ちで家庭のまつりを続けてゆくことです。

毎日のおまつり

家庭のまつりは、毎日欠かさず行います。毎朝、食事の前に洗面し口をすすいだ後に、まず神饌を整えます。 毎日お供えするものは、お米、お塩、お水の3品です。

榊立の水を取り替え、燈明がある場合にはこれを灯し、神棚と祖霊舎にそれぞれ神饌をお供えして、先に神棚まつりを、次に祖先まつりを行います。

お正月や毎月一日、家族の記念日などには、お米、お塩、お水、お酒のほかに魚や野菜、果物をお供えしましょう。 私たちが特別の日に、御馳走でお祝いをするのと同様、こうした日には特別におまつりをします。 手狭な場所に神棚と祖霊舎を並べておまつりしている場合は、神饌は1つでも構いません。神饌はおまつりの後に、おさがりとして家族みんなでいただきます。

お米・お酒・塩・水を一台に供える例
お米・塩・水を一台に供える例

おまつりする場所

家庭のまつりは、日常生活における一家の中心となる行事ですから、神棚や祖霊舎をおまつりする場所は、家の内でも清浄なところを選ぶようにしましょう。

一般には、清らかで明るく、静かで高いところに、南向き、あるいは東向きにおまつりするのがよいと言われ、神棚は座敷に、祖霊舎は居間におまつりすることが多いようです。

しかし、今日の住宅事情を考えますと、このような場所が見当らないことも多く、神棚と祖霊舎をどのようにおまつりしたらよいのか判らないという声がよく聞かれます。こうした場合は、家族が親しみを込めて、毎日お参りのできる場所を第一に考えます。それは、私たちをいつも見守って下さっている神さまやご祖先と共に暮らし、親しみを込めておまつりすることが家庭のまつりの原点だからです。ですから、家族がいつも集まって会話をしたり食事をするような、家庭生活の中心となる部屋の適当な場所に、丁重におまつりすればよいのです。また、神棚と祖霊舎を同じ場所に並ぺておまつりすることになったとしても、神さまとご祖先を親しみと感謝を込めておまつりすることを大切に考えれば、差し支えないことと言えるでしょう。

神棚(宮形)と祖霊舎

家庭のまつりを行う場所が決まりましたら、神棚まつりに必要な宮形を用意します。

宮形は、御神札をお納めするためのものです。宮形の形や大きさは様々ですが、おまつりする場所(棚を吊る場合は棚の大きさ)を考えて適当なものを選びます。

祖先まつりには、祖霊舎を用意します。祖霊舎は、祖先の霊が鎮まる霊璽をお納めするものです。宮形は、神社でお祓いしたものをお頒けしていますので、近くの神社にお尋ねください。

神棚と祖霊舎を同じ場所におまつりする場合は、宮形と祖霊舎の座位を考えて、下図のように宮形と祖霊舎を並べてすえます。

必要な祭器具

1) 注連縄 ( しめなわ )
注連縄は細いものを牛蒡注連(ごぼうじめ)、太いものを大根注連(だいこんじめ)と呼ぴ、稲藁を左綯にしたもので、これに四垂れ(または八垂れ)の紙垂を等間隔にはさみ込み、神棚の上部に取り付けます。ここが神聖な場所であることを示すものです。
2) 紙垂 ( しで )
紙垂は、簡単に作れますので、汚れたり、破けたりしたときは取り替えましょう。また、注連縄は細い縄でもかまいません。
3) 榊立 ( さかきたて )
榊立は神の宿る木、栄える木という意味をもつ榊を立てるためのものです。豊かな緑は、みずみずしい生命感にあふれて、神霊の宿る場所にふさわしいものです。地方によっては、樫、松、杉などを用いることもありますが、常に青々とした常緑樹を神棚や祖霊舎の前に立てておくよう心掛けましょう。
4) 瓶子 ( へいし )
瓶子は、御神酒(神さまやご祖先の召し上がりもの)を供えるためのものです。瓶子にはお酒を入れます。その際には瓶子の蓋は外します。
祭器具は家庭用の食器と一緒に洗わないようにします。
5) 水器 ( すいき )
水器は、御水(神さまやご祖先の召し上がりもの)を供えるためのものです。水器にはお水を入れます。その際には水器の蓋は外します。
祭器具は家庭用の食器と一緒に洗わないようにします。
6) 平瓮 ( ひらか )
平瓮は、神饌(神さまやご祖先の召し上がりもの)を供えるためのものです。平瓮にはお米やお塩を盛ります。
祭器具は家庭用の食器と一緒に洗わないようにします。
7) 三方 ( さんぽう ) 、又は ( ) 折敷 ( おしき )
三方は、神饌(神さまやご祖先の召し上がりもの)を供えるための台です。瓶子、水器、平瓮を三方にのせてお供えします。
祭器具は家庭用の食器と一緒に洗わないようにします。
8) 燈明 ( とうみょう )
燈明は、常に神前を明るくするためのものです。
最近では、便利で安全な電灯式のものがあります。

御神札の納め方

神棚まつりを行う前に、神社でお受けした御神札を宮形にお納めします。

御神座の順位は、中央を最上位とし、次が向かって右、その次が向かって左になります。

三社造りの宮形

中央に私たちの総氏神さまである伊勢の神宮の神宮大麻を、向かって右には氏神さまの御神札を、向かって左には崇敬している神社の御神札をお納めします。

一社造りの宮形

神宮大麻を一番手前に、そのうしろに氏神さま、そのうしろに崇敬する神社の御神札を重ねてお納めします。

各地の神社にお参りした際にいただいた御神札も、崇敬する神社の御神札のうしろに重ねておまつりします。御神札の数が増えて、宮形にお納めすることができなくなったときは、宮形の横に丁寧に並べておまつりしましょう。