飛鳥時代『大化』に始まる日本だけにある特別な年の数え方『元号』。
1400年余の永きに亘り、我が国の独立を表現し、国民統合の時間軸として用いられてきました。その歴史や精神において他の如何なる有形無形文化財にも劣らぬ重みを持つ、世界でも類をみない先人が大切に守り伝えてきた日本固有の伝統文化です。
世界では現在西暦(グレゴリオ暦)を用いるのが一般的ですが、西暦はイエス・キリストが生まれたとされる年を元年としています。日本でも現在の様に使われる様になったのは、鎖国政策を執っていた江戸幕府が終わり、世界との交流が盛んとなった明治時代からとなります。
他には仏暦(お釈迦さまが入滅された年が元年)・イスラム暦(預言者ムハンマドがメッカから聖都メジナへ移動した年が元年)・ヒンズー暦(太陰太陽暦)など色々な年の数え方があり、我が国では『皇紀(神武暦)』という年の数え方があります。これは初代神武天皇が御即位をされた年を元年とした年の数え方であり、日本の始まりを基準とした年数となります。
皇紀は西暦よりも元年の始まりが古く西暦紀元前660年を元年としています。諸説ありますが、我が国の建国は西暦よりも永い歴史があるのです。
さて元号に戻りましょう。最初の元号である大化から現在の『平成』に至るまで、実に我が国は247もの元号が存在します。この元号は、古来は天皇陛下が替わられたり(御代替わり)、天災など国が大変な時、逆に良いことがあった時などに変えて来ました。これを改元といいます。
近代明治天皇陛下からは、天皇さまお一人の時代に一つの元号が付く様になりました(一世一元の制)。ですから現在の平成時代というのは、今上陛下(現在の天皇陛下)が御即位をされてからの年数ということになります。
では、何故我が国はわざわざ元号を作ったのでしょうか。
諸説がありますが、日本独自の暦・皇紀にもみられる様に、『日本の国柄・歴史の象徴ともいえる天皇陛下を中心に日本国民が一つでありますように…。』 『今の天皇さまの時代をみんなで幸せに共に生きよう。』というメッセージが込められている様な国民の想いがします。
では、元号はどうやって決められるのでしょうか。
天皇陛下や日本国民の想いと理想を込めて、有識者や関係者が話し合い、天皇陛下に御報告をし決定していきます。これは約1400年間変わらない方法です。現在の『平成』という元号は『日本が内外共に平穏で、周りの国々と共に仲良く成りますように…』という想いが込められていました。
平成31年4月30日 今上天皇陛下(明仁さま)皇后陛下(美智子さま)両陛下が御譲位(在世中に位を譲る事)なされ、翌5月1日 いよいよ第126代目の新帝となられる現皇太子殿下(浩宮徳仁さま)皇太子妃殿下(雅子さま)が『御大礼(新天皇陛下御即位に関わる一連の儀式)』を行い御皇位を御継承なされます。この神事は御皇室の皇祖(御先祖さま)である天照大御神さまをはじめ、初代神武天皇、歴代天皇陛下へ新帝御即位を御報告申し上げる古式ゆかしい厳粛な儀式です。『国やすかれ 民やすかれ』日々行われている宮中のおまつりで、いつも我々にお祈り下さっている両陛下の御心です。
今の未来を担う子供達には『平成』より新しい元号『令和』が身近に生きた時代となります。
国際化が進展し外国人との相互交流が増える時代。私達が我が国の文化に誇りを持ち理解する事はとても大事な事だと思います。そして、何よりも先ずは我が国の伝統的な行事や制度、歴史を将来に亘って守り続け大切にする心が育まれます様に願って止みません。
『平成』時代にも、我が国を取り巻く情勢は国内外問わず、良い事、悪い事、嬉しかった事、悲しかった事。実に多様な出来事がありました。
新しい御代『令和(れいわ)』がどんな次代になるのか。平成天皇皇后両陛下におかれましては、今日までの御慰労に深甚を敬し、衷心より感謝の誠を御捧げ申し上げます。そして新しい天皇皇后両陛下御即位を心から寿ぎ、共に今を生きる私達が一生懸命汗をかき、素晴らしい御代にしていける様に歩んでいけたらと切に想います。
新元号『令和』は子ども達の世代を象徴する時代となります。とても楽しみですね。